連載企画 “Coffee as it is”
vol.2 山下貴嗣さん

連載企画 “Coffee as it is”
vol.2 山下貴嗣さん

私たちの“それぞれをそのままに-as it is-”

チョコレートの新しい文化創りのために、長く続ける事が大事。だから目標は「粘り腰」です。

Vol.2 Minimal  代表取締役 山下 貴嗣さん

2014年東京・富ヶ谷に店をオープンさせた、ビーントゥバーを代表するスペシャルティチョコレートを販売する「Minimal -Bean to Bar Chocolate-(ミニマル)」。チョコレートやスイーツ好きなら知っている人も多い人気ブランドではないだろうか。業界の常識とは異なるチョコレートを生み出し、チョコレートの文化を築くために1日でも長くあり続ける。トレンドでありながら100年先も見据える代表の山下さんの“as it is”

チョコレートを新しくするという文化創りへの挑戦という奥行きのある仕事でロマンを追い求め続けること

文化になるには時間がかかります。だから長く続ける事が大事なんです。目標は「粘り腰」です。

Minimalのチョコレートづくりを通じて、経営者としての目標は「粘り腰」なんですよ。スペシャルティチョコレートという新しい文化をつくることをしているからこそ、一発屋や流行で終わらせずに少しでも長くやり続ける。カウンターカルチャーが本当の意味で成熟した文化になっていく。ということに僕はロマンを感じています。スペシャルティコーヒーの文化も20年かけて日本の全輸入量のうち10%に達しましたが、チョコレートもそうなれば良いな。と思っています。

100年後は、低価格なチョコレート、高価格なショコラやブランドで選ぶだけでなく、モノづくり・品質・生産者・ストーリーなどで選ぶスペシャルティチョコレートが第三の選択肢としてあればいいな。と思っています。

タブレットチョコレートで勝負し続けるMinimal

定番商品のタブレットチョコレートには、お客様が好みの味わいで選べるようにパッケージにカードを付けて“ナッティ”や“フルーティ”などと表現をして、味わいの異なる6~8種類を販売しています。

チョコレートの世界では、装飾された華美で高価な高級ショコラが花形商品であり、見た目がシンプルなタブレットチョコレートで高価格帯なクラフトチョコレートは相対的に選ばれにくいのが現状です。しかし、ビーントゥバーで表現したタブレットチョコレートが最もダイレクトにカカオ豆の芳醇な香りや味わいを表現できるため、なかなかそこで勝負するチョコレートブランドが少ない中、僕らはそれを作り続けお客様に商品を提案しています。

引き算で素材の良さを表現

チョコレートづくりでは、カカオ豆の品種と味をダイレクトに出すことをこだわっています。従来のチョコレート製法にとらわれず、カカオの香りや多様性(個性)を最大限に表現するために、引き算でチョコレートをとらえ、独自の製法をしているのがMinimalのチョコレートの特徴です。

移り変わっていく香りを出したい。仕入からチョコレートをつくるまでのこだわり

仕入れるカカオ豆やレシピにこだわるのはもちろんのこと、製造に使っている機械までチョコレート製造用のものではないものをオリジナルの発想で組み合わせて使っています。他にも、グレインプロという密閉袋に入れ、温度管理ができるリファーコンテナという通常のコンテナ輸送の10倍程度のコストをかけて自社で輸入しています。そこまで仕入れから製造までこだわっているブランドは、恐らくないと思います。これらのこだわりは、全ておいしいチョコレートをつくるためです。

製造で言えば、一般的なチョコレートは滑らかになるまで挽き、油を出して味を調えるのですが、その一方で、プロセスでカカオの繊細な香りが軽減してしまう事もあります。Minimalのチョコレートはあえて粗挽きにし、カカオのザクザクした食感を残しています。カカオにストレスをかけず、油分を出さないことで、味わいを軽くしてカカオという素材をクリアに表現しています。

素材・産地・生産者のストーリーや原風景を閉じ込めたMinimalのチョコレートをお客様には味わってもらいたいと思っています。

新しいチョコレート文化の未来を創造したデザイン

僕らのデザインは自分たちの原体験を紡ぎあげ、ちょっとだけ未来を創造したデザインにしています。

産地情報、濃度情報、粒度、香りの情報などを気づいてもらうパッケージにしたのは、創業メンバーが以前イタリアでソムリエしていて、ワインのパッケージからヒントを得たパッケージです。タブレットデザインは、創業前アメリカやヨーロッパのビーントゥバーをまわった時、チョコレートの形状は分厚くて脂っこくて胃も疲れてしまった。という自身の体験があり、気分や体調に合わせられると良いな。というのがきっかけとなっていて、タブレットも体調や気分に合わせて好きな形状で割れたり形を変えられるようにしています。

解像度を高めて、いかに繊細な香りを表現するか。それが僕らの大事にしていること。

カカオの個性を見極めるために、自社で独自のテイスティングシートの11項目に対して10点満点の評価をつける自社基準を持っています。製造チームがロットごとに評価をつけ、レシピを決めており、年間3000~4000レシピづくりをしています。

レストランのように食材に合わせてレシピや、火加減も変えるほど徹底的にこだわっています。

全スタッフが味を理解して再現できるようにしなければならないので、ビジネスチームや販売チーム合わせて毎週、課題のチョコレートを全拠点に送り、テイスティングシートに書き込む。というテイスティングのトレーニングをしています。このように、カカオの個性をいかに表現できるかを日頃より解像度を高める意識を持つようにしています。

ビーントゥバーチョコレートの文化を根付かせるために

Minimalの店内でワークショップの実施や、クラフトチョコレートのイベントを開催などもしています。2019年には、JICA(ジャイカ/独立行政法人国際協力機構)とニカラグアのカカオ農家の貧困を支援するプロジェクトもやりました。彼らに日本の発酵技術を教えることによって、スペシャルティカカオをつくり、収入を上げるというプロジェクトです。

また、自身では発酵について学んでいます。カカオを理解することで生産者とコミュニケーションすることができます。カカオの生産から携わり、様々な国や生産地の品質を上げるような取り組みは今後も継続したいと思っています。これらは全て、ビーントゥバーチョコレート文化を根付かせるためです。

ー A story about coffee

一日の始まりがコーヒー。絶対、朝一番に飲みます。

自分で朝の一杯をハンドドリップで淹れないと目が覚めない。そのルーティンが僕の仕事のスイッチです。飲むときは普段、完全にブラックで飲みます。夏でもブラックのホットコーヒー飲んじゃうくらいです、変人ですよね(笑)。

コーヒーって儚いですよね。淹れた瞬間から儚く変わっていく。情緒と一緒にスペシャルティコーヒーを楽しんでいます。

普段コーヒーを淹れる時は、豆を挽いてCoresでハンドドリップしています。台形・円錐・一人用のゴールドフィルターどれも持っています(笑)

Coresのファンでもあり、コーヒーも好き。チョコレートの文化づくりにおいても、スペシャルティコーヒーから薫陶を受けています。

山下貴嗣さん

1984年岐阜県生まれ。 チョコレートを豆から製造するBean to Bar(ビーントゥバー)との出合いをきっかけに、世の中に新しい価値を提供できる可能性を見出し、2014年に渋谷区・富ヶ谷にクラフトチョコレートブランドの「Minimal -Bean to Bar Chocolate-(ミニマル)」を立ち上げる。 年間4か月強は、赤道直下のカカオ産地に実際に足を運んで、カカオ農家と交渉し、良質なカカオ豆の買付と農家と協力して毎年の品質改善に取り組む。カカオ豆を活かす独自製法を考案し、設立から3年で、インターナショナルチョコレートアワード世界大会Plain/origin bars部門で日本初の金賞を受賞。2017年にはグッドデザイン賞ベスト100及び特別賞「ものづくり」やWIRED Audi INNOVATION AWARD 2017 30名のイノヴェイターにも選出される。モノを丁寧につくるクラフトマンシップを心から愛する。 夢は「世界中の美味しいカカオを食べること」。

Minimal -Bean to Bar Chocolate https://mini-mal.tokyo/

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